肺高血圧症の症状

成人における症状

① 初期症状

  • 初期は無症状。
  • 患者さんが自覚症状を訴えるころには比較的進行しているというのが、肺高血圧症の特徴です。
  • 来院するきっかけとして最も多いのが労作時呼吸困難です。易疲労感、脱力感、動悸などの症状もみられることがあります。

② 進行時の症状

  • 右室の酸素需要の増大による胸痛、心拍出量低下とそれに伴う失神発作などが起こってきます。

③ 右心不全による症状

  • 浮腫、腹部膨満、食欲不振などが出現します。
  • 喀血やチアノーゼなどが生じる場合もあります。

乳児〜小児の症状

  • 乳児の場合は、心拍出量低下による哺乳不良、発育不良や、失神を認めます。また心臓に先天的に穴が開いている場合には、チアノーゼ(唇や肌が紫色になる)などがみられます。
  • 小児では倦怠感、呼吸困難、失神など成人とほぼ同じ症状がみられます。

肺高血圧症における遺伝子異常

  • 2000年に家族性の肺動脈性肺高血圧症に関与する遺伝子のひとつとしてBMPR2という遺伝子が特定されました。
  • 慶應義塾大学の調べでは、日本人においては家族性肺動脈性肺高血圧症の患者さんの57%、特発性肺動脈性肺高血圧症の患者さんの34%にBMPR2遺伝子変異が認められています。※
  • 実際に発症するのは遺伝子変異保有者の約20%に過ぎず、環境因子などの因子も肺動脈性肺高血圧症の発症に大きく関与することが知られています。
  • ACVRL1遺伝子 & ENG遺伝子:
  • 他の病気に関連する遺伝としては、ACVRL1遺伝子・ENG遺伝子といったものも知られています。これらの遺伝子の変化により心臓や血管のの発生分化や機能維持に関与するTGF-βシグナル伝達系が異常をきたし、血管壁で生じる細胞増殖とアポトーシスとのアンバランス化が発症に関与すると考えられています。

※ 加畑ほか:Respirology. 2013 May 15.

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